全日本実業団のことも書きたいんだけど時系列的に日体大記録会の話題
週末に、日体大記録会800mで高校生が1分48秒68と1分49秒81を出した

ペースメーカーをつとめたのは
高校記録保持者でJr.記録保持者の川元(日大2年)
インターハイで積極的なレースをしたものの敗れた選手の姿勢に感動して
高校記録更新を目指す同選手のペースメーカーを自ら申し出た

サラッと書いたがこれはなかなかできないことだ
自分のトレーニングスケジュールが崩れるし
自分の高校記録も破られるかもしれない
それでも村上くんをアシストしたいと自ら申し出た川元の姿勢には感動すら覚える

ぼくはこういった高め合いの精神が中距離のレベルアップには欠かせないと思っている
大事なのは助け合いじゃなく高め合いだということ
他の選手のレベルアップは自分のレベルアップにも繋がる

早いやつのペースメーカーは早いやつにしかできないからだ
仮に一人だけ国内でずば抜けた場合、あとは海外で勝負するしかなくなる
本来は海外でレースを勝負すべきなんだけど
様々な状況を勘案し、総合的強化観点で見ると(長くなるので様々な状況は割愛)
日本国内でのレースは必要
それを実現させるためには全体の底上げは必ず必要なのだ

同じペースメーカーといえど中距離と長距離/マラソンでは状況が異なる
簡潔に言えば
・お金が出るか出ないかと
・ケニア人が使えるか使えないか
国内の中距離のレースでペースメーカー料が払われるのは稀でむしろ交通費すらも支払われないケースもある
また長距離の場合ケニア人を使えば余裕をもってラストまで引っ張ってもらえるし
中距離ではそれは難しい
その中で中距離が世界に出るための記録を求めるには
高め合いの精神が必要だ
早いやつのペースメーカーをお互いが担い
そのスパイラルで全体のレベルアップをはかる

こういった状況が今回のケースのように陸連が準備した場以外で自主的に出てきているのはいい流れだと思う
その流れをどう巻き込んで加速させるかというのも陸連の課題だと思う

しかし一方で、
高校生の記録が上がったことは高校生のレベルがアップしたことと必ずしも同義ではないことを忘れてはいけない
川元以降のサブ150のランナーのうちペースメーカーをつけないでサブ150を達成したのは
今年のインターハイで達成した三武のみ
川元以前の高校生ランナーには
ペースメーカーがつくレースの機会が限りなくゼロに近かった
そもそもシニアでも中距離のレースでペースメーカーがつく国内レース自体が
ここ10年弱の間に整備し始められた
そこから高校生がチャンスを与えられるようになったのは
川元から、つまり2010年以降なのだ
そこからボコボコとサブ150が出ているのを考えると
それまでの高校生も何人かはサブ150くらいは出せる力があったと考えても良いだろう

国内で大会が整備されることにより、強さよりも記録を追い求める傾向が中距離では強くなった気がする
あくまで記録はいろんな大会への入口であって
好記録を持ってる選手=強い
という式は必ずしも成り立たないことを理解しないといけない
しかしながら、記録至上主義的な考え方が日本の陸上界には根強い気がする
その考え方が変わらなければ世界でパフォーマンスを発揮する選手の数は増えない

ちょっと意味合いは変わってくるかもしれないが、
日本国内の大会が整備されすぎると海外でのパフォーマンスが悪くなるという現象が起きるのではないかと思っている
簡単に言えば海外にいく必要性が低くなるからだ
オリンピックで陸上の日本チームは、自己ベスト、シーズンベストともに更新する選手は本当に少なかった
(自虐的な意味も含めて)
このオリンピックでの海外選手と日本人選手のパフォーマンスの差はどこにあるのか
単なるコンディショニングの失敗で片付けてはいけないと思う

話がそれたけど、結論としては、
選手同志が高め合って記録を狙っていく姿勢は歓迎し推進すべきだが、
一方で、記録は真の目的ではないことを忘れてはいけない
記録は強い選手になるために必要な一要素であり他にも必要な要素がたくさんある
記録ばかりを見てると大きな大会でパフォーマンスを発揮できない
国内の大会を整備する一方で、海外に出て行く事も積極的に支援していかないと
同じ事が繰り替えされる



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